大戸夢木 准教授
日本は世界的に見ても,非常に豊かな水圏環境を有しています.一口に水圏環境といっても,河川上流域から河口域まで,沿岸域から遠洋域まで,高緯度地域から低緯度地域まで,本当に様々な場所に様々な環境が存在します.私は,こうした水圏環境を舞台とした,魚類のダイナミックな回遊生態や生活史進化に興味を持って研究しています.
【回遊性魚類の個体群生態学】
日本には様々な顔をした河川が存在します.長い川,短い川,急な川,緩やかな川,自然度の高い川,都市河川… こうした構造的,物理的要因は,直接あるいは間接的に,魚類をはじめとした水棲生物の個体群にどのような影響を与えるのでしょうか?私は,一生のうちに海と川を行き来する通し回遊魚を対象に,どのような河川環境要因がその回遊生活史にどのような変化を与えるのか,さらに回遊パターンの変化によって成長,成熟や繁殖成功度にどのような影響が及ぼされるのかということを調べています.
【魚類の回遊行動の進化】
魚類をはじめとした水棲生物は,その長い進化史の中で,海洋から淡水域への進出を繰り返してきました.その淡水進出の途上ではしばしば,海と川を行き来する通し回遊性が出現するとされます.通し回遊行動やその進化は,淡水進出に関わる生態学,生理学的メカニズムを理解する上で重要な現象です.私は,海洋起源ながらも淡水域への進出を繰り返し,かつ種間で回遊形態に多様性があるハゼ科魚類を対象に,生態学,比較生理学的研究を行っています.研究手法にとらわれないことをモットーに,フィールド調査から分子実験まで,様々なアプローチから研究を行っています.
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