1年次
1年次には、さまざまな学問分野の基礎や語学力を身につけることを目指した科目群(全学共通教育科目、理学部共通基礎科目)を履修することで、幅広い知識や教養を身につけます。また、生物学展望Iなどの講義を通して、愛媛大学で行われている研究の最前線に触れることができます。
2年次前期〜3年次前期
2年次からは、生物学に関する専門的な学習が本格的に始まります。多様な実験・実習科目を通して、科学的思考力、課題発見能力、課題解決能力といった、社会の様々な分野で活かせる能力を培います。演習科目では、「調べる」「発表する」「議論する」ことを通して、「読み取る」「伝える」「理解する」技術を磨きます。論理的思考力、読解力、表現力、コミュニケーション力などを培います。
同時に、2〜3年次での専門科目の習得を通して、自己の適性や興味に応じて専門性を深めたい分野を考え、希望する研究室を選択します。
3年次後期
3年次後期からは研究室に配属されます。論文を読み、研究室のゼミナールに参加し、発表・議論します。また、各自が所属する分野・研究室にて、自分で研究活動に取り組む生物学課題演習では、実験などを行い、分野についての知識を深めます。3年次の終わりには、課題演習発表会(希望者)にてその学習の成果を発表します。
4年次
特別研究を通して未知の課題解決に取り組みます。4年次の終わりには、卒業論文を完成させ、卒業論文発表会にて発表します。大学生活の集大成といえる特別研究I、IIでは、専門分野における知識と経験が得られるだけでなく、プレゼンテーション力、文章力、実験技術、統計解析など、社会において重視されるさまざまな能力を培うことができます。
生物学コースで開講されている講義や実験・実習等の科目間の関係を学年の進行(縦軸)に沿って示しています。
共通科目 | コース体系科目 | コース課題科目 | 特別科目 | |
1年前期 | 全学共通教育科目 理学部共通基礎科目 | |||
1年後期 | 全学共通教育科目 理学部共通基礎科目 | 生物学展望I | 課題挑戦キックオフセミナー 科学コミュニケーションI | |
2年前期 | 基礎物理学実験 基礎化学実験 基礎生物学実験 基礎地学実験 | 生態学 植物形態学 細胞学 発生学 生物化学基礎I 生物化学基礎II | 基礎生物学演習 基礎生物英語 ★生物学野外実習 ★臨海実習 | |
2年後期 | 分類学 植物生理学 形態形成論 環境化学 生物化学I データマネジメント基礎 | 文献講読 生物学実験I 生物学実験II 生物統計学演習 | 科学コミュニケーションIIAB 環境科学セミナーI | |
3年前期 | 分子遺伝学 動物生理学 生物学展望II 行動生態学 環境毒性学 生物化学II 古生物学 | 生物学ゼミナールI 生物学実験III 生物学実験IV | 科学コミュニケーションIIIAB 環境科学セミナーII | |
3年後期 | 進化昆虫学 分子遺伝学特論 進化神経学 生物化学III 生体分析化学 生態環境分析学 | 生物学ゼミナールII 生物学課題演習 | 環境科学セミナーIII | |
4年前期 | 科学研究倫理 特別演習I 特別研究I | |||
4年後期 | 特別演習II 特別研究II |
生物学コースで開講されている授業の概要について、担当教員がご紹介します。
植物形態学では、主に維管束植物に注目し、植物が成長し、次世代を残していくまでの過程を、形態学的側面から学んでいきます。その際、植物の進化の過程も学んでいきます。
本講義が開講される4-7月は、多くの植物が生育し花を咲かせる季節です。講義では野外の植物の実物や写真も用いていきます。
皆さんの周囲の植物が全て生きた教材です。それらの植物から学んでいく目を養っていきましょう。写真は講義で紹介した身近な花々です。(佐藤)
発生学は高校の生物学でもお馴染みの分野ですが、受精卵という1つの細胞が分裂することによって多細胞になり、さらに立体的な細胞移動による形態変化を起こして個体が形成される過程で、それぞれの時期に細胞内でさまざまな分子が複雑に相互作用したり異なる細胞間でコミュニケーションを取ったりと、複雑な過程が多く難しいと敬遠されがちな分野です。
古くから行われてきた発生学的研究は、胚がどのように発生するかを研究するため胚発生学と呼ばれます。動物の個体発生は受精から始まり、一旦発生が始まると動物の種ごとに決められた過程が忠実に再現されます。分類学的に近い種ではよく似た発生過程を経てよく似た構造を持つ体を形成します。近年では、分子生物学や遺伝学と胚発生学の知見を組み合わせて、発生現象の分子メカニズムにアプローチする発生生物学が主流となっています。
この授業では、発生生物学を理解する上で必要となる基礎的な知識と代表的な動物の初期発生を学び、動物の体がどのように形成されるのかを理解することを目標としています。(高田)
生物学野外実習
昆虫には32の“目”というグループがあります。例えば、チョウ目、トンボ目などです。この実習を通して32の目全てを見分けることができるようになるということが目標となります。実際に野外に出かけ、採集をし、学術的な標本の作り方やスケッチを学ぶことができます。(福井)
地球上には様々な形や機能を持つ動物が生息しています。この授業では生物を分類する方法を説明し、地球上に存在する土動物の全ての系統について解説します。(村上)
この講義では、自然由来および人工的に合成された化学物質が環境中の生物に及ぼす毒性影響とその発現機序について理解することを目指します。
また、近年問題となっているダイオキシンや内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)・難分解性有機汚染物質(POPs)・放射性物質などによる野生動物への影響やリスクの評価法についても学びます。(岩田)
行動生態学とは、動物の行動・生態を進化という観点から考察する学問です。この学問分野を拓いた功績により、コンラート・ローレンツ、カール・フォン・フリッシュ、ニコ・ティンバーゲンが1973年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
講義では、様々な生物の行動や生態をみんなで見て意見を交換しながら考察を深めます。例えば、「生物種間の関係で互いに利益を交換する相利共生関係は、いかに地球上の物質循環や多種共存を成り立たせるために重要か?」—このような問いに考えを巡らせます。(畑)
細胞は、常に細胞内外のシグナルを検出し、適切な応答を行っています。この過程では、様々な情報が統合、分岐、変化をくりかえし、あたかも細胞の中にコンピューターが存在するかのような情報処理を行っています。
分子遺伝学特論では、シグナルの受容から遺伝子発現を経て、タンパク質が機能して、細胞の状態が変化するまでを、順を追って分子レベルで解説します。(佐久間)